2025-03-19 浮気は甲斐性
浮気については、知り合いの事例を少なくとも三件は知っている、私の周囲はモラルが崩壊しているのだろうか。浮気できるほどモテるだなんて羨ましい限りだが、それはさておき、先日も
モテる友人が、交際関係にある男性とは別の男性とも懇意になっており、浮気のような状態にあった。人としての誠意に悖ると感じたので、その二人の男性について話を聞いた結果、現在交際中の男性と別れることを推奨した
といった話を聞いたばかりである。これについては興味深い点が色々あったので少々考えてみよう。
浮気を裏切りと表現することがあるが、それは婚姻のような契約がなければ成り立たないだろう。配偶者を持つ人間の浮気については法の議論が気になるところではあるが、そちらに任せるとして、そうでない恋愛関係にある人々について考えよう。
生憎恋愛マスターではないので、恋愛について一家言ありそうなスタンダールから学んでみよう。彼によれば、恋愛は以下の4つに分類できたと曖昧に記憶している
- 肉体的恋愛:名前通り、ナンパ師の目指すところ
- 虚栄恋愛:恋人が存在するという状態に重きを置く事例、端的にはアクセサリー
- 趣味恋愛:恋愛関係を表現することに重きを置く劇場型恋愛、恋に恋することか
- 情熱恋愛:上述以外の恋愛
この分類、理解の正しさについてはさておき、個々の恋愛について浮気を考えてみよう。
1.肉体的恋愛における浮気というのが何かと考えると、肉体の独占契約に対する不履行を指すのであろう。確かに、それは種々のリスクを考えれば重大な問題であるが、それらの問題は大部分解消可能に思える。というのも子供の認知はDNA検査があるし、既知の性病に関しては、潜伏期間待機後の性病検査があれば回避可能だ。不治の病でも引かなければ、それなりに浮気しながらでもやっていけそうだ。
2.虚栄恋愛における浮気というのは、虚栄心に対する侵害である。実際、恋人が複数いる状態であっても恋人を持っている状態は達成できると思うが、社会通念上それでは虚栄心が満たされないのだろう。この問題は、二人が共通のコミュニティに属していなければ、ある程度は折り合えるかもしれない。
3.趣味恋愛における浮気は、演劇に対する横槍なので致命的だ、一般にはそこで閉幕だろう。浮気の乗り越えという新しい題目が始まる可能性はあるにせよ、演劇の題目変更をするなら相手を変えてもいい。
4.情熱恋愛における浮気というのはきっと困難だろう。しかし、モーツァルト級の怪物のような愛情の持ち主であれば不可能とも言い切れない。しかし、情熱と言えるほど燃え上がっている最中に、愛する相手が浮気しようが何しようが問題になるのかは気になるところである。
以上、雑なお遊びであった。ここから一つの着想を得た、つまり浮気の問題というのは交際相手の尊厳に対する一方的な侵害にあるのかもしれない。尊厳を守る行動は、老若男女問わず、非常時であっても観測できるものというのは、先の大戦の記録などから読み取れるが、それ故に浮気の問題はかなりの深刻性を孕んでいる可能性が高い。
さて、冒頭の例を見直してみよう。「浮気のような状態」という表現は面白い、社会通念上浮気とされる行動が伴っていないという意味なのかは不明だが、何であれ交際中の男性の尊厳は表向きは守られた状態にあると解釈しておこう。次に、二人の男性の比較が行われたようだが、ここで交際中の男性が劣位とされたのは残酷だがまだ内々のことではある。この後、一方的に振られることで名実共に尊厳は失われたのだろうか、その結末までは記憶にない。何はともあれ、浮気されようが振られようが、尊厳に亀裂の入る結果は同じな気がしないでもないが、程度の差はあることだろう。
人間関係が破綻するのは仕方がない。それ故に、こういったケースにおいて最低限の誠意を保つ上で必要なのは、配慮に満ち溢れた理想的な交際相手の振り方だろう。破局に妥協点はないのだから協議は成立しないが、それでもなお円満に進めたいというのだから、これは結構な難問である。ともなれば、その筋のプロが求められる。退職代行があるのだから破局代行があっても良いではないかと調べてみると、やはりあるではないか「別れ代行サービス」。俄然どんな技を披露してくれるのか試してみたくなってきたが、別れる相手がいなかった、頼むまでもなく皆逃げていくのだから。