2025-01-11 エンシュア・H

膨張を続ける我がワガママボディにより近い未来地球が飲み込まれることは、「5.9724×10245.9724\times 10^{24}年問題」として広く知られている。昨年、遂にこの問題に対し、肥満に詳しい有識者会による審判が下された。「C:要経過観察」(n度目n年連続)と。
大和男児たるもの減量のような軟派な行動は一笑に付し、マシュマロのようなボデーを丹精込めて育て上げるものである。吾輩の辞書に「減量」の二文字は存在しないと、暑苦しい同志達の前で高らかに放屁したあの青春の日々は遠く眩しく存在しない。余談であるがmarsh mallowという植物が存在し、古代エジプトで薬用に利用されていたらしいが、それを元ネタにフランス人が我々の知る菓子の形に仕立てあげたらしい[F.Stuart]と、なけなしの食の知識を強引にひけらかしたところで収拾がつかないので閑話休題。
要は致命的ではないにせよ不健康なのだ、少しは生活を見直さなければいずれ太ることすらままならなくなりかねない。昨年末亡くなった食べることが好きだった祖母も、不摂生が原因ではないが病に倒れて以降は食が細り、末期に至っては何もまともに食べられず、点滴頼りで木乃伊のように干からびていた。それでも病院の飯がまずいと文句だけは最期まで一人前であったが。
そんな祖母にとって最期の晩餐は何であったかが気になるところだが、恐らく「エンシュア・H」だろう。
祖母が残したものを渡されたのだが、これが私にとっての祖母の形見となった、実に祖母らしいといえばそうなのかもしれない。どんなものかと有難く飲んでみると、ほんのり黒糖風味の牛乳?豆乳と言った塩梅で非常に飲みやすい。医療技術同様に、病院食も進化を続けているのだろう、私がお世話になる頃には、ミシュランの星の一つ二つぐらい付いているといいのだが。
参考文献
F.Stuart:料理の科学大図鑑 (ISBN13: 978-4309253824)